日本のワイン文化を中国の若者に伝える小川孝さん(旧JAあいづ職員)

元福島県会津若松市農業委員会長の小川孝さん(76)は日本のワイン文化を中国の若者に伝え続けている。「熱心に学んでくれる。その姿勢に応えたいと思うと自然と力が入る」。新型コロナウイルスの感染拡大で3年間、渡航できていないが、再び海外の若者と意見を交わす日を楽しみにしている。

小川さんは陝西省西安市の西北農林科技大葡萄酒学院で2015(平成27)年4月から客員教授を務めている。旧JAあいづの職員だった小川さん。定年記念の海外旅行先で葡萄酒学院の日本人名誉教授と出会ったのがきっかけだ。学院の授業に同行するようになり、2014年にワインソムリエの資格を取得すると客員教授の就任を打診された。

学院はワインに特化した四年制大学だ。学生たちはブドウの栽培から醸造、販売のマーケティングまでを一貫して学んでいる。小川さんは毎年2、3回の頻度で現地に赴く。日本国内のワインのトレンドや日本人が好む味わいの傾向について、10代、20代の学生約200人を前に講話する。学生たちは人気が出るワインを造ろうと懸命だ。一言一句漏らさぬよう、小川さんに真剣なまなざしを向ける。

政治的には尖閣諸島を巡る情勢など両国の間には複雑な問題も絡む。小川さんは「このまま交流していて中国の人は嫌がらないだろうか」と心配になったこともある。思い切って現地での交流会の席上で学院の関係者に聞いた。返ってきたのは「あくまで政府と政府の問題。関係なく交流を深めましょう」との答えだった。

小川さんは中国の他にも、韓国や台湾などにも友人関係を持つ。「国境という壁をつくらず胸元を開いて会話するようにしている。相手を尊重することを心がけている」と語る。

現在、日本健康ワイン&フーズ協会理事、会津地方のワイナリーでつくる会津ワイン研究会で顧問などを務める。多種多様なワインの飲み比べをしながら、再び中国に行く準備をしている。「民間から両国の関係発展につなげたい」。その日を心待ちにする。(取材:福島民報

会津ワイン研究会
2019(令和元)年6月に設立。会津地方の4ワイナリーが中心となり、会津で栽培されたブドウなどを原材料にして、地元で製造した「会津ワイン」の普及とブランド化推進を目指している。

名称会津ワイン研究会
Aizu Wine Research Society(AWR)
設立2019年6月2日
事務局TEL/FAX:0242-62-5500
e-mail:info@aizuwine.net

関連記事

  1. なめこの起源が喜多方に?

人気記事

最近の記事

PAGE TOP