「カツ丼=ソースカツ丼」という会津にあって、このいわゆる普通の卵とじのカツ丼はマイナー勢力である。そして今日の昼はこの全国的メジャーで刑事ドラマの取調室で好んで食べられる煮込みカツ丼を食べた。
そもそも煮込みカツ丼を食べる気は無かった。アタミ食堂に行くつもりもなかった。同じ塩川町の若竹食堂で、塩川鳥モツ定食を食べようと決めていた。若竹食堂は巨大なカツ丼で有名な人気店。何を食べても美味しいいいお店だ。いつもはカツ丼を食べるのだけど今日は塩川鳥モツ。そう意気込んでお店の前に着くと「本日休業」の札が。
一瞬にして昼食のイメージが吹き飛んで車で町を彷徨った。塩川駅の近くまでなんとなく行ってた。そうだ、みさお食堂で鳥モツ定食食べよう!そういえば先日行った時はちょうどご飯切れとか鳥モツ切れのタイミングに当たってしまい、定食のコンプリート版を食べてなかったんだっけ。そうそう、納豆も小鉢に入って出て来るって聞いたことがある。
ラーメン入りミニスープを納豆ご飯にぶっ掛けてフィニッシュってのもいいな!とまた妄想を組み立て直したのも束の間、みさお食堂も「本日休業」の札が掛けられてるではないか。
完全に頭の中が真っ白になったまま、アタミ食堂のあるすぐ近くの路地を曲がって停車した。アタミ食堂の暖簾をくぐりテーブルにメニューを探す。あ、そうだったここは、壁掛けメニューしか無かったんだ。
自分の座った席のちょうど真後ろにメニューが貼られてるので、思い切り体をひねってメニューを見渡した。。。のだが、ここはメニューが凄く多い。気になる字面が目には入って来るのだが目がチカチカして思考はさらに混乱し始める。チキンライス、オムライス、カツカレー、小モツ定食、目玉焼き定食、玉子焼き定食。。。。どれも魅惑的だからこその思考の混乱。
そこにふっと「煮込みカツ丼」という言葉が急に胸に刺さってきた。何故だろう?少し冷静に考えた。あ、若竹食堂の煮込みカツ丼って美味かったよな。俺は本当は煮込みカツ丼が食いたかったのかもしれない!。。。。というとても回りくどい「情念の回帰」によって、煮込みカツ丼に導かれた。

どっからどう見ても見事に普通のカツ丼だ。その普通度が半端なく高い。ありふれている。徹底的にありふれている。食べると当たり前のように美味い。それがどういうタイプの美味さか説明を求められるなら「頭の中に思い描ける最大限の町食堂の普通のカツ丼のその味は大抵は美味い」という意味でとても凡庸だけど、全く的が外れていない、完璧な普通さによって出来たカツ丼だってことだ。
ホッとする味だ。カツ丼ってこんなだよな?全く褒めてるように思えない文章だけど、このカツ丼を褒めてる。こういうのもあって、またああいうのもあってのコレだよなぁ。だからこうして食堂を食べ歩くのは面白いんだって。。。。不思議な気持ちで店を後にしたのだった。
店名 | アタミ食堂 |
住所 | 福島県喜多方市塩川町新丁1825 |
営業時間 | 11:00~20:00 定休日:不定休 |
電話 | 0241-27-4109 |
コメントを投稿するにはログインしてください。